電子書籍は記憶に残りにくいという話を時々聞きますが、本当でしょうか?
もし本当ならせっかくの便利な電子書籍も読んでも意味がないということになるのでしょうか。
そんなことはありません。
いくつかのポイントに気を付けてさえいれば、「読んでも意味がない」なんてことにはならないのです。
この記事では、記憶に残る電子書籍の読み方、紙の本との使い分けについてまとめています。
使い分けが重要ですよ。
なぜ電子書籍は記憶に残りにくいと言われるのか
そもそも、なぜ電子書籍は記憶に残りにくいと言われるのでしょうか。
その理由には、いくつかの研究結果があります。
紙の本VS電子書籍についての研究
2003年に行われたケイト・ガーデン氏の研究では、モニターと小冊子のそれぞれでの学習での記憶について研究され、モニターでは短期的な「覚える」記憶に向いており、小冊子では長期的な「知る」記憶に向いているとの結果が出ました。
2012年には小林亮太氏がiPadと紙の比較では、紙の方が理解度が高かったとの結果を出しています。
2014年のスタヴァンゲル大学の研究では、電子書籍と紙の本で物語のシーンを正しい順に並べるテストを行った結果、紙の本の方が成績が良かったとのことでした。
ここでは3つの研究を紹介しましたが、3つとも紙の本の方が優位な結果になっています。
やっぱり紙の方が頭に入るのかな?
電子書籍だと成績が悪くなる主な要因としては次のようなことが考えられます。
電子書籍では集中しづらく、読み飛ばしや斜め読みが起きやすいといえます。
一方、紙の本では物質的な本が存在することで、五感で読むことができ、どのあたりに何が書かれていたかなどの記憶がしやすいのです。
こういう研究結果が出ているからこそ、電子書籍は記憶に残りにくいと言われているのです。
紙の本が優位なのは当たり前?
しかし、ここまでに紹介した研究結果で電子書籍が記憶に残りにくいという結果が出ているのには電子書籍の特徴以外の原因もあると考えられます。
研究が古いのです。
電子書籍と紙の本とどちらが記憶しやすいかの研究を探したところ、2000年代~2010年代前半のものが多かったのです。
その頃といえば、スマホが登場して浸透するかどうかといった頃ですよね。
日本では2010年が「電子書籍元年」と呼ばれています。
そんな時代に電子書籍と紙の本でどっちがいいかと言われると大抵の人は馴染みのある紙の方がいいにきまっています。
筆者も今でこそ毎日のように電子書籍を読んでいますが、2000年代はまだ電子書籍の存在も知らず、2010年代になってようやく電子書籍について興味を持ちだしたという感じです。
研究の前提からして紙の本に優位になっていたのです。
ネットが当たり前になっている現代や、生まれたときからネットがあった世代への調査など、新しい研究を行う必要があるでしょう。
紙の本と電子書籍のメリット・デメリット
ここで、改めて紙の本と電子書籍のメリット・デメリットを整理します。
紙の本のメリット・デメリット
メリット
・「物」として手元にあるという安心感
・自由に書き込みができる
・パラパラと読むことができ、ページの位置などのイメージがもてる
デメリット
・保管場所が必要
・重い本、大きい本などいつでもどこでもは読みにくいものもある
・読みたい本が品切れなどで入手できないことがある
電子書籍のメリット・デメリット
メリット
・保管場所をとらない
・いつでもどこでも、スマホなどから読むことができる
・すぐに購入できる
デメリット
・他の通知などで集中しづらい
・対応しておらず、読めない本もある
・自由な書き込みや、ページの行き来がしづらい
電子書籍の内容を記憶に残す方法
電子書籍の内容をできるだけ記憶に残すためにできる方法を3つ紹介します。
集中できる環境づくり
電子書籍が記憶に残りにくいことの一つの原因として、集中しづらいということがあります。
特にスマホなどのアプリで読む場合、読書をしていてもSNSなどの通知が来ると気が散ります。
また、ブルーライトも寝る前などには悪影響を及ぼします。
スマホは読書以外にもなんでもできて便利過ぎます。
読書の間は通知をオフにする、ブルーライトカットフィルムを貼るなどはすぐにできる改善方法でしょう。
長時間電子書籍で読書をする人は、専用端末の購入を考えてもいいかもしれません。筆者はAmazonのKindle端末を使用しています。
ほとんど紙と変わらない質感で目も疲れずに快適に読書をすることができます。
スマホと違って読書しかできない端末ですがそれがいいんです!
筆者が使用していておすすめはKindle Paper Whiteです。
機能を使いこなす
電子書籍の使いづらさには、自由に書き込みなどのメモができないことも一因にあります。
紙の本の自由さには劣るものの、電子書籍でも機能を使いこなせば、線を引く、メモを書くなどのある程度のことはできます。また、紙の本では面倒な辞書を引くという作業もKindleの場合すぐにできます。
筆者は線を引きながら読書して、1冊読み終えたら大事なことをノートにまとめています。
自分が使っている電子書籍の機能を熟知することで、記憶に残りやすい読書に変えることができます。
本を聴く
紙の本にできない、記憶に残す方法が「本を聴く」ことです。
スマホのアプリで電子書籍を読んでいる場合は、スマホの読み上げ機能を使って本を聴くことができます。本を聴くのは通常の読書と異なり、本を持ったり、文字を見たりしなくていいので、家事や運転などの作業をしながらでも読書ができます。
活字が苦手な人にも良さそうですね。
本を聴くことが記憶に残る理由は、何度も同じ本を聴くのが簡単だからです。
記憶しておきたい、役に立ちそうな本も紙の本でも電子書籍でも1度読んだだけでは忘れます。記憶するためには何度も読み返すことが必要です。
しかし、同じ本を何度も読むのを面倒に感じる人も少なくないでしょう。筆者もその一人です。
そこで、本を聴くのであれば本を読むのよりも楽にできるので、同じ本を何度も聴くのもそれほど負担になりません。
ぼんやり聴いているだけでも何度も聞けば頭に入ります。
さらに何度も聴くうちに、大事なことは記憶でき、1回目で何とも思わなかったことが2回目では興味深く感じられたりと1冊で何度も楽しめる読書になるのです。聴きながらメモをとるのも有効です。
スマホの読み上げ機能はIOSとandroidで手順が異なりますが、どちらも簡単にできるのでやってみてください。
スマホの読み上げ機能をやってみて、どうしても機械的な音声が気になるという人にはAmazonのaudibleをおすすめします。
有名なナレーターや声優が本を朗読してくれるサービスです。スマホの読み上げ機能よりも圧倒的に聴きやすいです。
筆者は最初はaudibleに抵抗があったのですが、今では生活に不可欠になっています。
無料体験もあるので気になる方はこちらからご覧ください。
電子書籍と紙の本の使い分け方
電子書籍と紙の本にはそれぞれメリット・デメリットがあります。有効な使い分け方を紹介します。
電子書籍が向いている
・漫画や雑誌などのかさばる本
・小説などの一方向に読む本(何度もページを行き来しない本)
・隙間時間にあらゆる場所で読みたい人
・たくさんの本を読む人
紙の本が向いている
・じっくり集中して学びたい本(資格の参考書など)
・画集や写真集など細部までよく見たい本、お気に入りのページをさっと開きたい本
・書き込みやページの行き来を自由にしたい本
・自宅など決まった場所で読書をする人
紙か電子かどっちかではなく、両方を使い分けるのが大事ってことですね。
まとめ:上手に使い分けて意味ある読書をしよう
電子書籍は記憶に残りいくいなどと言われていますが、使い方次第では決してそういうわけではないとご理解いただけたかと思います。
これまで、電子書籍を避けてこられた方にも電子書籍を使ってみようかなと思っていただければ嬉しいです。
この記事では電子書籍と紙の本の比較のようなことをしていますが、どちらにもメリット・デメリットがあり、自分に合った使い分けが必要になります。
ただ、大前提として紙でも電子でもまずは「本を読む」ことが大事です。現在読書をほとんどしていないという人は、紙でも電子でも手に取りやすい方で少しでも読書を始めてください。
とにかく読んでみることが第一歩です!
読書には計り知れないメリットがあるので、ぜひ上手に読書をして人生に生かしていただければと思います。
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